Amazonビジネスの法人割引ルールとは？設定手順や「機会損失」を防ぐ戦略方法を解説

Amazonビジネスでの売上拡大を目指すメーカー様やブランドオーナー様に向けて、運用のプロが「法人割引ルール」を徹底解説します。

「法人価格」や「数量割引」の仕組みに加え、利益を確保しつつ大口注文を獲得するための最適な割引率や、一般会員への表示範囲といった戦略面も詳しく紹介します。

単なる設定手順だけでなく、ビジネスアカウントでのカートボックス獲得率を高め、決算期のまとめ買い需要を確実に取り込むための具体的なノウハウをお伝えします。

Amazonビジネスの市場規模と法人割引を設定すべき理由

B2B向けマーケットプレイス「Amazonビジネス」の利用が拡大しており、法人顧客からの大口注文のチャンスが増えています。

ここでは、B2B需要の急成長ぶりと、法人価格や数量割引を設定しないことによる機会損失について解説します。

B2Cだけではもったいない？急成長するB2B需要と機会損失

近年Amazonビジネスは世界中で成長し、日本国内でも多くの企業や公的機関が利用しています。

法人顧客はオフィス用品を一度に数十点発注するといったケースも珍しくありません。一度の注文でまとめ買いする傾向が強く、1件あたりの注文点数はB2Cの約80%増、購入後の返品率も約半分となっています。

Amazonの調査では、「法人価格」や「数量割引」を設定することで法人購入者のコンバージョン率が約27%向上すると報告されています。

反対に、法人向けの設定をしないままだと大口受注を競合に奪われてしまい、売上の機会損失につながる可能性もあります。

指標	B2C購入者	B2B購入者
商品閲覧後の購入率	基準値（1とする）	約3倍高い
1注文あたりの平均購入数量	基準値（1とする）	約1.8倍
購入商品の返品率	基準値（1とする）	約50%低い

こうした市場動向をふまえると、B2Cだけに頼るのは「もったいない」状況だと言えます。Amazonビジネスに参加し、法人限定の価格設定を活用することが今後の売上拡大につながります。

基礎から理解するAmazonビジネスの「法人割引ルール」

Amazonビジネスでは、一般消費者向け価格とは別に法人専用の価格や割引条件を設定できます。法人割引ルールを正しく理解すれば、一般価格を変更した際に法人価格も自動で追従させることが可能です。

以下では、法人価格と数量割引それぞれの仕組みや設定ルールを基礎から解説します。

法人価格の定義と設定ルール

法人価格とは、Amazonビジネスの法人アカウント購入者だけに適用される特別価格です。

法人価格を設定すると、法人ユーザーには商品ページ上で「法人価格」として割引後の金額が表示されます。

ルールとして、法人価格は必ず一般消費者向けの販売価格よりも低い金額に設定する必要があります。

一般消費者向けよりも高い、もしくは同額だと、法人価格自体が商品ページに反映されない点に注意しましょう。

法人価格を設定することで、企業や個人事業主のお客様に「割引あり」のお得感をアピールでき、新たな販路拡大につながります。

数量割引の仕組みと最大5階層のルール

数量割引とは、一定数量以上まとめて購入する場合に適用される割引のことです。

Amazonビジネスでは1商品につき最大5つの数量条件を設定でき、「〇点以上で〇%OFF」または「〇点以上購入で1点あたり〇円」といった形式で割引を提供できます。

ルールとしては、数量が増えるほど割引率や値引き額が大きくなるようにする必要があり、少ない数量の方が割引率が高い設定にすることはできません。

数量割引を活用することで、法人顧客に「まとめ買いするとさらにお得」という明確なメリットを提示することが可能になります。

競合に差をつける！！法人価格・数量割引の戦略

法人価格と数量割引を上手に使えば、Amazonビジネス上で競合他社に対して有利に戦えます。

ここでは、カートボックスの獲得から割引率設定の相場まで、実践的なポイントを解説します。法人向け販促の肝となる戦略を押さえて、B2B販売で一歩リードしましょう。

ビジネスアカウントでのカートボックス獲得には「法人価格」が必須

Amazonには、法人顧客がログインして商品を見る場合、法人価格を設定している出品者の方が優先的に表示されやすいという仕組みがあります。

言い換えれば、競合が法人価格を設定している中で自社だけ一般価格のままだと、法人顧客にとって割高に映り、カートボックスの獲得を逃してしまう可能性が高いです。

法人顧客は同じ商品でも法人価格があるほうがお得だと認識するため、B2Bでの商機を逃さないためには法人価格の設定は必須と言えるでしょう。

まだ法人価格を設定していない出品者も多い現状では、早めに設定することで上位表示されるチャンスも広がります。

競合に差をつけるためにも、まずは主要商品の法人価格の設定から始めてみましょう。

まとめ買いを誘発する「数量割引」は5階層すべて活用する

法人顧客は必要な物品をまとめて購入する傾向にあるため、数量割引をフル活用して買えば買うほどお得になる仕組みを整えることが重要です。

設定可能な5階層すべての「数量しきい値」を活用し、小口の注文から大口の注文まで段階的に割引率を上げていきます。

「2点以上5%OFF」「5点以上10%OFF」「10点以上15%OFF」「20点以上20%OFF」「50点以上25%OFF」のように細かく設定しておけば、少量購入の法人にも大量購入の法人にもアピールできます。

すべての階層を埋めておくことで、「もう少し買えばさらに割引になる」と購買意欲を刺激でき、注文数量の増加も期待できます。

なお、設定時は在庫数や一度に購入できる上限数に注意しましょう。割引条件より在庫が少なかったり購入上限が低かったりすると、せっかく設定した数量割引が商品ページに表示されないことがあります。

十分な在庫を確保しつつ、数量割引のメリットを最大限に活用しましょう。

割引率は何％が正解か？競合に勝つための相場観と設定基準

「法人向けの割引率は何％が正解なのか」という点には、多くのセラーが頭を悩ませています。正解は一概に何％と決まっていませんが、競合状況と自社の商品特性から適切なラインを見極めることが重要です。

一般的に5%前後の割引を設定している商品が多いことから、まずは3〜5%OFFから試してみるのがおすすめです。この程度の値引きであれば法人顧客にお得感を与えつつ、自社の利益率への影響も抑えやすいでしょう。

競合他社の法人価格を調査し、同水準または少し高い割引率を設定することで価格面での優位性を確保できます。

ただし、割引率を高くしすぎて利益が出なくなっては本末転倒です。自社の原価や利益を踏まえたうえで無理のない範囲で設定しましょう。

競合に勝つためには相場観を持ちつつ自社にとって最適なラインを見定め、定期的に見直しをしていくことが肝心です。

利益を守りブランド毀損を防ぐための運用ルールと注意点

法人価格や数量割引を導入する際には、利益の確保とブランドイメージの維持にも配慮しましょう。

以下では、一般会員への見え方やポイント付与の仕様、法人価格・数量割引の自動連動機能など、運用するうえで知っておきたいポイントを紹介します。

一般会員には法人割引価格は表示されない安心設計

法人向けに値下げをすると、一般のお客様からのブランドイメージが悪くなるのではないかと心配される方もいるでしょう。

しかしご安心ください。法人価格や数量割引はAmazonビジネスの法人アカウントでログインしたユーザーにのみ表示され、一般のAmazon利用者には一切見えません。

例えば、通常価格が10,000円の商品に法人価格9,000円を設定しても、個人アカウントの購入者には10,000円としか表示されないようになっています。

また、仮に法人価格を設定し忘れたまま一般価格を値下げしてしまい、法人価格の方が高い状態になった場合でも、Amazon側で法人価格を非表示にする措置が取られます。

いずれの場合も一般顧客への価格表示に影響は出ないので、安心して法人割引戦略に取り組みましょう。

法人価格におけるAmazonポイント付与の仕様と兼ね合い

Amazonでは、商品購入時にAmazonポイントが付与される仕組みがあります。

ポイント還元率自体は法人価格を設定しても変わりませんが、付与ポイント数は実際の購入価格に応じて計算されます。

例えば、通常価格10,000円、ポイント還元率1%の商品を法人価格9,000円にした場合、法人顧客が購入すると1%にあたる90ポイントが付与されます。

法人顧客にとってはポイントよりも即時割引のメリットの方が大きいため、一般消費者向けにはポイント還元で販促しつつ、法人顧客向けには価格割引で還元する形が理想です。

ただしポイント設定は全顧客共通のため、両立が難しい場合は法人価格を値引きする戦略を優先すると良いでしょう。

ポイント付与の仕組みを理解し、自社の商品特性に合ったプロモーションを心がけてください。

一般価格の変更に連動させる「法人価格・数量割引の自動設定」機能

複数の商品で法人価格や数量割引を設定していると、一般価格の変更時にあわせて更新する手間がかかります。そんなときに便利なのが「法人価格・数量割引の自動設定」機能です。

セラーセントラルの価格自動設定ツールを使えば「一般価格の〇%引きで法人価格を維持」といったルールを作成できます。

例えば「常に一般価格の5%OFFを法人価格に適用」と設定しておけば、一般消費者向け価格を変更する度に法人価格も自動で更新されます。

数量割引についても同様にルール化が可能で、購入数量〇以上で〇%OFFという条件を含めて自動反映できます。法人価格の更新し忘れによる機会損失を防ぎ、価格管理の効率が飛躍的に向上します。

導入手順は簡単で、セラーセントラルの「価格の自動設定」から「法人価格と数量割引」を選び、割引率やしきい値を入力し「適用SKU」を選択するだけです。

各SKUごとに出品価格の下限を設定しておくと、相場変動で一般価格が下がった際も自動割引で赤字になる事態を避けられます。利益を守りつつ効率化できる機能をぜひ活用してみてください。

実践！セラーセントラルでの法人割引設定手順

ここでは、実際にAmazonビジネスの法人価格と数量割引を設定する方法を解説します。

小規模セラーの方はセラーセントラル上で個別に設定する方法がおすすめです。一方、取扱商品が多い大規模セラーの方は、ファイル一括アップロード機能を使うと効率的です。

自社の規模に合わせて、以下の手順に沿って進めましょう。

【小規模セラー向け】在庫管理画面から個別に設定する方法

セラーセントラルの在庫管理画面から1商品ずつ法人価格を設定できます。手順は次の通りです。

以上で、商品の法人価格および数量割引が設定できます。法人アカウントで商品ページを確認し、正しく割引表示が出ているかチェックしておくと安心です。

【大規模セラー向け】ファイルアップロードで一括設定する方法

取扱SKUが多い企業は、一括ファイルアップロードによる設定が効率的です。

Amazonが提供する在庫ファイルや価格設定ファイルを利用すれば、多数の商品に対して一度に法人価格や数量割引を適用できます。

一般的な手順は以下の通りです。

一括設定を活用すれば、短時間で大量の商品に法人割引ルールを適用できます。ただし誤った値の入力には注意が必要です。

最適な法人価格の維持にお悩みならAmazon運用代行・コンサルの利用がおすすめ

法人向け価格戦略は一度設定して終わりではなく、競合状況の変化に応じて調整が必要です。

「自社で常に最適価格を追い続けるのは大変」という場合は、Amazon運用代行・コンサルティングの活用もおすすめです。

しるし株式会社では、Amazon専門の運用代行サービスを提供しており、価格戦略からプロモーション施策までトータルサポートが受けられます。

• Amazonで売上を伸ばしたいが、社内に運用ノウハウがない
• 担当者が退職してしまい、Amazon対応に避けるリソースが不足している
• 並行輸入品や転売業者を放置してブランド毀損が起きている

上記のような課題は、プロに依頼することで解決できる可能性が高いです。まずは無料相談で、現状の課題を洗い出してみてはいかがでしょうか。
⇒しるしに無料相談する

法人割引ルールを攻略して「未来の大量注文」への種まきをしよう

AmazonビジネスはB2B需要の高まりとともに今や見逃せない市場となっています。

法人割引ルールを上手に活用することは、目先の売上アップだけでなく未来の大量注文への種まきにもなります。

法人価格と数量割引を設定すれば、今は少量購入の法人顧客が将来大量発注してくれる可能性も高まります。

競合に先駆けて法人向け価格対応を行うことで、コンバージョン率向上や新規法人顧客の獲得につながり、中長期的な販路拡大が期待できます。

手間やノウハウの不足が不安な場合は、しるし株式会社のようなAmazon運用代行のプロに任せるのもおすすめです。

ぜひ本記事の内容を参考に、貴社の商品にも法人価格・数量割引を設定してみてください。
⇒しるしに無料相談する

Amazonの運用代行・コンサルティングは『しるし株式会社』へ！