越境ECとは?メリット・デメリット・検討ポイント・はじめ方を解説
EC販売を海外に向けて展開したいと考えている方の中には、越境ECという言葉を耳にしたことのある方が多いのではないでしょうか。
越境ECとは、国境を超えて販売を行うECモールの出店形態です。海外の顧客をターゲットにできるため、販路の拡大を期待できます。
本記事では、越境ECの市場規模や種類、運営するメリット・デメリットなどを解説します。はじめ方や成功させるコツも説明しているので、ぜひ参考にしてみてください。
しるし株式会社では、越境ECの売上拡大やリソース確保などをかなえるべく、運用代行やコンサルティングを提供しています。
まるっと任せられる運用代行のほか、スポンサー広告やDSP広告の運用、各種データ分析などで、Amazonでの越境ECを強力に支援しているのが特徴です。
- Amazonで越境ECをはじめたいもののノウハウがない
- 越境ECを運営しているが売上が伸びない
上記のように、越境EC運用に課題を感じている方はぜひ一度ご相談ください。
越境ECとは
越境ECとは、電子商取引の形態のひとつで、国境を越えて海外に向けて商品を販売するECのことを指します。
海外のECモールに出店して商品を販売したり、日本のECモールで海外顧客向けに商品を販売したりするなど、越境ECの形態はさまざまです。
ユーザーにとって、越境ECは自国では販売されていないものを手に入れられるメリットがあるため、需要にあった運用で売上アップを期待できます。
越境ECの市場規模
経済産業省が令和5年8月に発表した「令和4年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」によると、日本・中国・アメリカ間の市場規模は以下の通りです。
国 | 市場規模 |
---|---|
日本 | 3,954億円 |
中国 | 5兆68億円 |
アメリカ | 2兆2,111億円 |
日本の越境EC市場規模に比べて、中国とアメリカを飛び抜けて規模が大きいという結果が出ています。
越境ECで市場規模の大きい中国やアメリカに進出することで、大きな売上アップを期待できるポテンシャルがあります。
越境ECの種類
越境ECには、以下のような種類があります。
- 自社運営
- 越境に対応した国内ECモールへの出店
- 海外ECモールへの出店
- 代行販売型
出店の形態が異なるので、それぞれの特徴を理解して、自社にあった越境ECを選びましょう。
自社運営
越境向けのECサイトを自社で構築・運用することで、海外の国・地域で販売を行うことができます。
越境ECに特化したパッケージやシステムを活用し、フルスクラッチで構築したりするなど、さまざまな方法での運用が可能です。
越境に対応した国内ECモールへの出店
国内で利用できるECモールの多くは、海外のユーザーに向けた販売に対応しています。Amazonや楽天市場などは越境対応しているので、国内から海外に向けた販売が可能です。
越境販売には別途手数料がかかり、コストは発生するものの、使い慣れたプラットフォームで対応できる手軽さがメリットといえます。
海外ECモールへの出店
出店したい国・地域で販売できる海外のECモールに出店することでも、越境ECの運用を開始できます。
例として、中国とアメリカでは以下のようなECモールがあります。
国 | ECモール |
---|---|
中国 | ・天猫(Tmall) ・京東(JD.com) ・拼多多(pinduoduo) ・蘇寧易購(Suning) ・唯品会(VIP) |
アメリカ | ・Amazon ・eBay ・Etsy ・Bonanza ・Walmart |
越境販売をする方法として現地法人や支店を開設する方法もあり、コストや手間がかかりますが、海外ECモールへの出店であれば工数を抑えられます。販売したい国・地域で運営されているECモールをリサーチし、出店を検討してみましょう。
代行販売型
越境ECでの販売を代行している業者や代理店があり、運営や販売を任せられます。代行業者に任せられる分、出店のハードルが低く、運営の工数を抑えられるのが特徴です。
一方で、代行業者への依頼料や手数料などが発生するため、売上によっては利益が出にくくなる場合があります。費用対効果を考慮して、代行販売型での越境ECを検討しましょう。
越境ECを運営する3つのメリット
越境ECを運営することによって、以下のようなメリットを期待できます。
- 実店舗よりも簡単に海外展開できる
- 海外の顧客に向けて販売できる
- 競合の少ない環境で販路を拡大できる
自社へのよい影響をイメージできる場合には、越境ECの運営を前向きに検討しましょう。
実店舗よりも簡単に海外展開できる
越境ECは、実店舗よりも簡単に海外で事業を展開できるのがメリットです。
実店舗を出店する場合は、現地でのテナント契約や人材採用、国内から海外への発送など、工数やコストが多くかかります。
その点、越境ECであれば、実店舗を用意する必要はなく、ECモールへの出店や自社ECサイトを構築するだけで、海外展開をはじめられます。
海外の顧客に向けて販売できる
越境ECを運営することで、国内にとどまらず、海外の顧客に向けて商品を販売できます。
日本よりも中国やアメリカの方が越境ECの市場規模が大きいため、より大規模な市場で新たな顧客を獲得できるチャンスがあります。
海外顧客のニーズを満たす商品を販売できれば、越境ECによって事業の成長を実現できるでしょう。
日本の製品に魅力を感じる海外の顧客も多いため、海外にいながらショッピングできる越境ECはうれしいサービスになるはずです。
競合の少ない環境で販路を拡大できる
国内のEC市場は、ECモールや自社ECサイトなどで競合が多い状態ですが、越境ECで海外に目を向ければライバルが少ないビジネス環境が広がっている場合があります。
日本企業があまり参入していない海外ECモールに出店したり、競合が少ないジャンルで海外展開したりすれば、いち早くシェアを獲得できるでしょう。
越境ECを運営する際のデメリット3つ
越境ECを運営するうえで、メリットだけではなく、デメリットも把握しなくてはいけません。
越境ECで注意したいデメリットは、以下の3つです。
- 販売する国・地域にあわせた対応が必要になる
- 言語や文化の違いに注意しなければならない
- 商品の配送コストが国内よりもかかる
出店地域にあわせた対応や文化の違いなどに注意して、越境ECを運営しましょう。
販売する国・地域にあわせた対応が必要になる
越境ECでは、商品を販売する国・地域で定められている法律や規制に対応しなくてはいけません。
たとえば、EU域内に販売する場合は、データ保護に関する規制であるGDPRへの対応が必要です。アメリカではFDA(アメリカ食品医薬品局)の事前申告番号取得、中国ではNMPA(中国国家薬品監督管理局)の登録など、各国で必要な対応が求められます。
法律や規制を知らないまま運営を開始すると重大なトラブルが起きるかもしれません。必要な対応を調べたり、実際に手続きをしたりする手間もかかるので、入念な準備が必要です。
言語や文化の違いに注意しなければならない
海外の顧客に向けて商品を販売するうえで、日本とは異なる言語や文化にも注意が必要です。
商品の説明を外国語で記載したり、カスタマーサポートを外国語で実施したりするなど、現地にあわせた対応をしなくてはいけません。
対応をする中で、文化の違いから日本とは異なる要求をされることもあるでしょう。文化や国民性なども理解して、運営体制を整える必要があります。
商品の配送コストが国内よりもかかる
越境ECでは、日本から海外に向けて商品を配送する必要があり、国内から国内へ配送するよりもコストが多くかかります。
利益を生むためには送料を高く設定する必要がありますが、比較的高い送料によって離脱されるリスクがあるのがデメリットです。
また、国内から海外への配送は、国内から国内への配送よりも流通プロセスが長くなります。輸送中の紛失や破損などが起きる可能性が高くなるので、思わぬコストがかかることもあるでしょう。
越境ECをはじめる際に検討すべき4つのポイント
越境ECをはじめる前には、以下のポイントを検討する必要があります。
- 商品・サービスと越境ECの相性がよいか
- 販売したい国・地域で自社商品のニーズがあるか
- 為替変動に対応できるか
- 出店後継続的に運営できる体制が整っているか
検討が不十分だと利益が生まれにくくなる場合があるため、自社に越境ECが向いているのかを慎重に検討しましょう。
商品・サービスと越境ECの相性がよいか
越境ECでは、国内と同じようにさまざまな商品を販売できますが、越境ECで売れるか、売りやすいかという視点で相性を見極める必要があります。
たとえば、耐久性に不安がある商材は、海外配送の過程で破損のリスクが高いため、相性はあまりよくありません。
オンラインゲームや電子書籍などデジタルで提供できるものであれば、配送リスクはなく、オンラインで購入を完結できるため、越境ECと相性がよいでしょう。
自社で取り扱っている商材と越境ECの相性を見極めて、出店を検討するのがポイントです。
販売したい国・地域で自社商品のニーズがあるか
越境ECには海外への販路拡大を期待できますが、出店すれば必ず成功するわけではありません。販売したい国・地域で売れる商品である必要があるため、自社商品のニーズを慎重にリサーチしましょう。
ターゲットとする国・地域でのニーズがあれば、越境ECで売上アップできる可能性があります。外国人ユーザーの口コミや海外のトレンドなど、さまざまな視点で調査を行い、ニーズを発見できたときに越境ECを本格的に開始しましょう。
為替変動に対応できるか
越境ECでユーザーが決済する際に、外貨を使用した場合は為替変動の影響を受けます。外貨を円に換金する際に、為替の状況によっては損失が生まれるリスクに注意が必要です。
損失によって利益が出にくくなる場合があるため、対策が必要になります。日本円建てでの決済を導入するなど、為替変動リスクを抑える対策を検討しましょう。
出店後継続的に運営できる体制が整っているか
越境ECは運営するメリットが多いものの、通常のECと同じように、継続することではじめて売上が生まれます。
やみくもに出店するのではなく、販売計画を立てたうえで、継続的に運営できる体制を整えることが大切です。
体制を整えていても、越境ECでは国内とは異なるトラブルが起きることもあります。その都度原因を分析し、こまめな対応・改善を繰り返すことが重要です。
越境ECをはじめる方法・手順【4ステップ】
越境ECをはじめる際は、以下の流れで進めていきましょう。
- 商品を準備する
- 販売する国やターゲットを検討する
- 運営リソースを確保する
- 出店方法を決定する
4つのステップごとにポイントを解説するので、越境ECをオープンするまで順序よく進めていきましょう。
1.商品を準備する
まず、越境ECで販売する商品を準備しましょう。
在庫をしっかり確保するのはもちろん、販売する国・地域の法律や規制に準じた手続きを完了させ、すぐに販売できる状態まで準備するのがポイントです。
商品を顧客に対して確実に届けるために、商品を準備するステップで配送方法も検討しておくと、スムーズに出店できるでしょう。
2.販売する国やターゲットを検討する
越境ECは、さまざまな国を対象に運営できますが、なるべく販売する国・地域を絞り込むのがおすすめです。自社商品のニーズがある国・地域に絞ることで、コストを最小限にしつつ、効率的な販売を実現できます。
また、どのようなユーザーに向けて販売するか、ターゲットも検討しましょう。たとえば、若者をターゲットにするなら、現地の若者のトレンドや嗜好にあわせた商品開発やラインナップの検討ができるようになります。
3.運営リソースを確保する
越境ECを継続的に運営するために、人員や予算などのリソースを確保しましょう。
越境ECでは販売する国・地域への対応が求められるため、現地の制度に詳しい人材や、外国語でコミュニケーションをとれる人材を確保する必要があります。
予算については、為替変動リスクや配送料などを想定して、余裕をもった計画を立てるとよいでしょう。
4.出店方法を決定する
販売計画や運営リソースなどが整ったら、越境ECの出店方法を検討します。
現地法人の設立や自社ECサイトの構築は比較的ハードルが高いため、はじめて出店する場合は越境対応の国内ECモールや海外ECモールがおすすめです。
出店方法それぞれのメリット・デメリットを比較し、自社にあった方法で越境ECをスタートさせましょう。
越境ECを成功させるためのコツ3つ
越境ECを成功させるためには、以下3つのコツを実践しましょう。
- 多言語対応できる人員やシステムを用意する
- 販売にかかるコストを想定する
- リードタイムをあらかじめ把握する
運営体制の構築や多言語対応などに取り組み、越境ECで売上が生まれるように、準備・運営を行いましょう。
多言語対応できる人員やシステムを用意する
海外のユーザーが安心かつ快適にショッピングを楽しめるように、越境ECの多言語対応は欠かせません。
越境ECをターゲットとする国・地域の言語に対応させるだけではなく、カスタマーサポートや現地のスタッフなどと外国語でやり取りできる人材が必要です。
チャットボットやAIなどを使って外国語対応をする方法もあるため、コストや工数を考慮して、自社にあった方法で多言語対応を実施しましょう。
販売にかかるコストを想定する
越境ECで利益を出すためには、コスト管理が重要です。国内から海外に商品を配送するうえで、費用が高額になるケースがあります。配送料以外にも、商品の種類や金額によっては関税が発生する点にも注意が必要です。
何にどのくらいの費用がかかるかを想定したうえで、商品の価格設定や予算計画などを慎重に検討しましょう。
リードタイムをあらかじめ把握する
国内から海外への発送では、配送料が高くなる傾向があるだけではなく、発注から納品までの期間であるリードタイムにも注意が必要です。
リードタイムを見誤ると、ユーザーへの配送が遅れ、トラブルに発展するおそれがあります。リードタイムを含めて、物流の流れを正しく理解し、配送体制を整えましょう。
越境ECの立ち上げ・運営は代行を利用するのも方法のひとつ
越境ECは海外市場にシェアを拡大する効果的な手法で、実店舗を現地に展開するよりも簡単にはじめられるのが特徴です。
ただし、越境ECを軌道に乗せるためには、外国語対応や配送体制の構築、人材の確保など工数が多くかかり、海外でのビジネスやECモールなどに関する専門知識も求められます。
そのため、自社のノウハウやリソースでは越境ECの運営に踏み切れない方もいるのではないでしょうか。
そのような場合には、越境EC代行を利用するのがおすすめです。越境ECの出店や運営などを任せられるため、ノウハウやリソースの課題を解決でき、海外市場への進出を成功しやすくなります。
越境EC代行については、おすすめの代行業者や選び方などを以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
越境ECで海外に向けて自社商品を販売しよう
越境ECは国境を越えて海外で商品を販売できるECの形態で、中国やアメリカなど規模の大きい市場に参入できます。
海外のEC市場は、飽和の傾向が見られる国内市場に比べて競合が少なく、シェアを獲得できるビジネス環境でEC事業を展開できるのが魅力です。
ただ、販売する国・地域にあわせた体制を構築したり、多言語対応を整えたりするなど、出店・運営には工数や知識が必要になります。
自社での準備や運営が難しい場合には、越境EC代行の利用を検討してみましょう。プロによる出店や運営のサポートによって、越境ECを成功させやすくなるので、ぜひ一度サービスについて聞いてみてはいかがでしょうか。
しるし株式会社では、越境ECの売上拡大やリソース確保などをかなえるべく、運用代行やコンサルティングを提供しています。
まるっと任せられる運用代行のほか、スポンサー広告やDSP広告の運用、各種データ分析などで、Amazonでの越境ECを強力に支援しているのが特徴です。
- Amazonで越境ECをはじめたいもののノウハウがない
- 越境ECを運営しているが売上が伸びない
上記のように、越境EC運用に課題を感じている方はぜひ一度ご相談ください。