アメリカへの越境ECを実現させるには?市場規模・成功のコツを解説
越境ECは、海外市場へビジネスを拡大するための手段です。アメリカ市場は、その巨大な消費者基盤と成長性から、日本企業にとって中国に次いで魅力的なターゲットです。本記事では、アメリカ市場で越境ECを成功させるためのコツや注意点などを解説します。
しるし株式会社では、越境ECの売上拡大やリソース確保などをかなえるべく、運用代行やコンサルティングを提供しています。
まるっと任せられる運用代行のほか、スポンサー広告やDSP広告の運用、各種データ分析などで、Amazonでの越境ECを強力に支援しているのが特徴です。
- Amazonで越境ECをはじめたいもののノウハウがない
- 越境ECを運営しているが売上が伸びない
上記のように、越境EC運用に課題を感じている方はぜひ一度ご相談ください。
アメリカの越境EC市場規模と成長
越境ECとは、国境を越えてEC(電子商取引)を行うビジネスモデルです。ネットショッピングをする消費者の増加に伴い、アメリカを含む海外への越境ECビジネスも注目が高まっています。
世界のBtoC-EC市場規模やEC化率の増加は、新型コロナウイルスの感染拡大が背景にあったと推測されています。2022年度の世界のBtoC-EC市場規模は5.44兆USドルで、2026年度は、7.62兆USドルにまで上昇することが予想されています。
ここでは、アメリカに焦点をあて、越境EC市場規模と今後の成長予測を見ていきましょう。
アメリカのEC市場規模
経済産業省が発表した、令和4年度(2022年度)の「電子商取引による市場調査」では、国別EC市場シェアは中国が全世界の50.4%、次いでアメリカが18.4%でした。
1位 | 中国:50.4% |
---|---|
2位 | アメリカ:18.4% |
3位以降 | イギリス:4.5% 日本:3.1% 韓国:2.5% ドイツ:2.1% インド:1.7% フランス:1.7% カナダ:1.5% インドネシア:1.4% その他:12.8% |
中国の市場規模の大きさが際立っていますが、アメリカの次のイギリスの市場規模が4.5%であることを見ると、世界第2位の市場規模を持つアメリカへの越境ECの需要も高いと言えます。
2022年の日本の越境BtoC-ECの市場規模のうち、アメリカ経由の越境EC市場規模の推計は3,561億円です。また、アメリカの越境BtoC-ECでの日本経由の市場規模は1兆3,056億円でした。
今後のアメリカ越境ECの成長予測
アメリカを含む世界の越境EC市場規模は、2021年の7,850億USドル(推計値)から、2030年には7兆9,380億USドルまで拡大するとみられています。
年平均成長率は26.2%と推測され、越境ECは今後も拡大し続けていくと予想されています。
アメリカの越境ECをはじめる方法・手順
日本企業がアメリカへ越境ECに挑戦する際には、方法や手順を知っておくことが大切です。ここでは、アメリカの越境ECをはじめる手順を解説します。
アメリカの越境ECに参入する方法は主に2つあります。
- 既存のプラットフォームに出店
- 自社ECサイトを作成し出店
既存のプラットフォームに出店する場合、すでに構築されている決済方法や物流システムが利用できるのが強みです。また、利用客がすでにいるため、ある程度の集客が見込まれるのも、既存のプラットフォームに出店するメリットといえます。
自社ECサイトを構築する場合は、サイトを自由にデザインし、魅力的なECサイトがつくれる点がメリットです。既存のプラットフォームで支払いが必要な売上に対する手数料も必要ありません。
越境ECをはじめる手順
アメリカの越境ECをはじめる手順を見ていきましょう。
- 販売する商材を決める
- 輸出・販売可能な商品か確認する
- 注意点を確認する
- 出店方法を決める
越境ECで大切なのが、ターゲットとなる国の商材を決めることです。市場調査をしっかりと行い、売れる商品か見極めましょう。
また、国によっては輸出販売できない商品があることにも注意が必要です。販売できる商品でも、事前申請が必要なこともあります。違反にならないようなルール確認も怠らないようにしましょう。商品にかかる関税・発送ルールも把握しておくことが大切です。
アメリカで販売する商品を決め、諸々のルールの確認を終えたら、出店方法や決済方法を決めましょう。すべてての準備が整い次第、アメリカでの商品販売が可能になります。
アメリカの主要越境ECプラットフォームと参入方法
アメリカの主要越境ECプラットフォームと参入方法を解説します。主要な越境ECプラットフォームは以下の通りです。
- Amazon
- eBay
- Shopify
- Walmart
- Etsy
それぞれの越境ECプラットフォームの特徴をチェックし、自社に合ったECプラットフォームを選択しましょう。
Amazon
Amazon(アマゾン)は世界最大のオンラインマーケットプレイスの一つであり、幅広い製品カテゴリーと多様な顧客層をもつECプラットフォームです。商品ラインナップの豊富さと、サイトの使いやすさや効率のよさ、注文から発送までの速さなどが特徴で、多くの消費者に支持されています。
Amazonを使って買い物をする人は世界中にいるため、グローバルな販売機会が広がるのがメリットです。Amazon独自の物流サポートサービスである「フルフィルメント by Amazon(FBA)」を利用することで、物流やカスタマーサービスをAmazonに任せられ、はじめて越境ECをスタートさせる場合の安心ポイントでしょう。
Amazonに参入する場合はAmazonの出店用アカウントを作成し、「Amazonグローバルセリング」を利用するとスムーズに進められます。
eBay
eBayは、主に個人間取引に焦点を当てたオンラインオークションおよびマーケットプレイスです。日本の人気フリマアプリやオークションをイメージするとわかりやすいかもしれません。
eBayは中古品やアンティーク、コレクターズアイテムなどが豊富に取り扱われており、独自の商品を出品する場として人気です。アメリカ・カリフォルニア州に本拠地があり、国内はもちろん、海外のニーズも高いのが特徴です。
eBayはコレクターやアンティーク愛好者、中古品や限定品を探している人から注目されています。特定の趣味やコレクションに特化した商品を販売することで、競争を回避しつつ消費者に高い付加価値を与えられるのがこのプラットフォームのメリットです。
法人・個人どちらでもアカウント作成可能です。アカウントを作成したら売手として登録し、商品登録や出品形式、送料設定などを進めましょう。
Shopify
既存プラットフォームに参入するのではなく、自社ECサイトを構築したいと考えるなら、Shopifyの利用が便利です。通常自社サイトを作成する際にかかる多額の費用や時間を抑えながら、独自のデザインと機能を使って自社ブランドをアピールできるサイトづくりができます。
日本語でつくったサイトの内容を現地の言葉に変換したり、価格を現地通貨に換算し、関税も見積もったりしたうえで正確な金額を提示する対応があるのも、Shopifyが便利なポイントです。SEOツールやマーケティング機能によるデータ分析で、集客や販売強化につなげられる点も魅力でしょう。
Shopifyには小規模から大規模ビジネス向けの料金プランが用意されており、自社の規模によってプランを選べます。
Shopifyを使って越境ECに参入するには、専用のアカウントを作成した後に、ショップのデザインテーマの設定、商品情報追加、ネットショップに必要なページ作成へと進みましょう。
Walmart
Walmartはアメリカ最大級の大手スーパーマーケットチェーンで、オンラインマーケットプレイスとしても急成長しています。豊富な商品ラインナップと強力な物流ネットワークが特徴で、アメリカ国内には多くの利用者がいます。
Walmartに参入するためには、アカウントを開設する必要があります。その後、ユーザープロフィールなどを登録し、商品と在庫状況を登録、アカウントが有効になればWalmartでの販売を開始できます。
Walmartでアカウントを登録する際のサイトは、表示言語が英語または中国語のみです。日本語の用意はないため、内容をしっかりと読み込んで間違いがないように進めましょう。
Etsy
Etsyは、ニューヨークでスタートした、ハンドメイド商品やヴィンテージアイテム、クラフト用品の販売に特化した通販サイトです。Estyは個人クリエイターや小規模事業者の利用が多く、オリジナルの商品を販売する場として人気があります。
Etsyのターゲット市場は、ハンドメイド商品や他ではあまり見ない個性的なアイテムを求める消費者です。Estyで商品を販売するためには、視覚的に魅力的な写真を使って商品をアピールしたり、商品の背景や製作者のストーリーを伝えることで、購入者の共感を得られるでしょう。
【番外編】Googleショッピング
国内のネットショップ運営と同様に、越境ECでも集客はキーポイントです。英訳したサイトをつくるだけでは、なかなかアメリカ国内のユーザーの目には留まりません。サイトを見てもらい、さらに購入してもらうためには、ユーザーを集める必要があります。
そこで活用したいのが、Googleショッピング広告です。Googleショッピング広告とは、Googleの検索結果ページに表示される商品広告のことです。広告は、Googleで特定のキーワードを検索した際に、商品画像や価格、店名などの情報が表示されます。
ショッピング広告はECサイトやオンラインショップにとって有効な広告手法であり、商品を視覚的にアピールできるのが特徴です。幅広い消費者層にアプローチでき、とくに価格比較を重視する購買層に訴求できます。
越境ECでGoogleショッピング広告を活用する場合は、以下のポイントが大切です。
- ターゲットとなる市場を理解する
- 適切な言語および通貨を設定する
- 適した広告フォーマットを選ぶ
- 定期的に広告のパフォーマンスを確認する
アメリカのように、英語圏でGoogleショッピング広告を掲載するためには、英語圏用の商品フィードを作ったり、商品の説明文を英語でつくったり、英語のURLを作成したりする必要があります。
少し手間がかかるかもしれませんが、Googleショッピング広告を上手に使うことでアメリカ越境ECの集客にもつながるでしょう。
アメリカ越境ECを成功させる5つのポイント
アメリカでの越境ECを成功させるためのポイントは5つあります。
- 現地ユーザーのニーズとトレンドを分析する
- 日本ならではのオリジナル商品を販売する
- デジタルマーケティングを活用する
- アメリカで主流の決済方法を導入する
- 信頼性の高い配送サービスを利用する
ここからは、それぞれのポイントを詳しく解説しますので、参考にしてください。
現地ユーザーのニーズとトレンドを分析する
アメリカ市場における消費者の嗜好や購買行動をしっかり調査しましょう。たとえば、人気商品や急成長しているカテゴリーなどを特定してみます。
今アメリカで何が流行しているかというトレンド分析も大切です。SNSや検索エンジンのトレンドツールを活用して、最新の消費者トレンドを把握しましょう。これにより、現地の消費者に訴求できる商品ラインナップを確立できます。
また、ユーザーのフィードバックやレビューを集め、商品やサービスの改善に役立てることも大切です。
日本ならではのオリジナル商品を販売する
日本製の商品は、高い安全性やアメリカではないデザインなどを理由に注目されています。そのため、日本特有の文化や技術を活かしたオリジナル商品を越境ECで販売することは、他のECサイトとの競争力を高められるでしょう。他の国の製品と一線を画すこともできます。
日本製品の品質は、世界的に高く評価されているため、高品質であることをアピールし、信頼性を強調するのもおすすめです。
商品の背景や作り手のストーリーを伝えることで、消費者の共感を得て、商品の付加価値を高められるでしょう。
デジタルマーケティングを活用する
マーケティング戦略を練る際に重要なのが、デジタルマーケティングの活用です。たとえば検索エンジン最適化(SEO)を行い、現地での検索エンジン順位を向上させることや、Facebook、Instagram、Twitterなどのソーシャルメディア(SNS)を活用して、ターゲット層にリーチすることも大切です。
オンラインでのお買い物頻度が増えている今、デジタルマーケティングを使って定期的な投稿や広告キャンペーンを行い、ブランドの認知度を高める努力も越境ECを成功させる秘訣といえます。
アメリカで主流の決済方法を導入する
アメリカでECサイトを運営するなら、アメリカで主流となっている決済方法を取り入れることは大切です。
たとえば、クレジットカードはもちろん、PayPal、Apple Pay、Google Payなどの決済方法を導入し、ユーザーの利便性を向上させることで、よりお買い物しやすい環境になります。
また、決済プロセスのセキュリティを確保することも重要です。
信頼性の高い配送サービスを利用する
信頼性の高い物流パートナーを選ぶことも大切なポイントです。たとえば、FedEx、UPS、DHLなど、国際的な配送業者を利用することも検討しましょう。
配送サービスの他には、商品の配送状況をリアルタイムで追跡できるシステムの導入や、簡単な返品対応システムを取り入れることでユーザーに安心感を提供できます。
とくにアメリカの消費者は返品ポリシーに敏感であるため、返品方法に対しては柔軟な対応が必要です。
アメリカ越境ECで注意したい3つの制度・規制
アメリカで商品を販売する際には、以下の3つの制度と規制について注意しましょう。
- OECDガイドライン
- FDAルール
- マーケティング規制
規制を遵守することで、アメリカ市場における越境ECのリスクを最小限に抑え、信頼性を高められます。
OECDガイドライン
OECD(経済協力開発機構)のガイドラインは、消費者保護を強化するための指針を示しています。これらのガイドラインは、越境EC事業者に対して、公正で透明な取引を促します。
OECDガイドラインには、8つの基本項目があります。
- 透明性かつ効果的な保護
- 公正なビジネス、広告およびマーケティング慣行
- オンライン上の情報開示
- 確認プロセス
- 支払システム
- 紛争解決と救済
- プライバシーとセキュリティ
- 教育、認識、デジタル能力
上記の項目は、どれも消費者の信用や売上増加につながるものです。ガイドラインを守っていないと信用を失ってしまう恐れがありますので、ガイドラインに即したECサイトをつくることが大切です。
FDAルール
FDA(米国食品医薬品局)は、食品や医薬品、化粧品、医療機器などの製品の安全性と有効性に関する規則です。該当の製品をアメリカに輸出して販売する場合、FDAの規制を遵守する必要があります。
FDAルールに該当する商品は、以下の5つです。
- 食品・飲料
- 医薬品
- 化粧品
- 医療機器
- 放射線機器
アメリカに輸出する製品がFDAの規制を遵守していることを確認するためには、専門家からのアドバイスをもらうのが近道です。FDA取得代行業者に依頼するのもひとつの方法でしょう。
マーケティング規制
アメリカでは、消費者保護を目的としたさまざまなマーケティング規制が存在します。これらの規制は、広告の内容や方法に関して厳格な基準を設け、虚偽や誤解を招く表示を防ぐためにあります。
マーケティング規制の内容には、商品に環境への配慮(SDGs)を謳う場合は科学的根拠を示す必要があること、インフルエンサーとのコラボには関係性を開示すること、健康に関する商品を宣伝する場合は証拠を示すこと、などがあります。
アメリカでは子ども向けの商品にも誤解を生むような広告を載せることを禁じていています。自身が販売する商品のマーケティングを行う場合、アメリカのマーケティング規制に抵触しないかを必ず確認しましょう。
アメリカ越境ECをはじめるなら「越境EC運用代行・運営代行」に相談してみよう
アメリカ越境ECに挑戦するためには、さまざまな問題をひとつずつクリアする必要があります。アメリカ越境ECをはじめるのがゴールではなく、さらに成功させるためには越境ECの専門家である越境EC運用代行・運営代行に相談するのも方法のひとつです。
越境EC運用代行・運営代行とは、企業がアメリカを含む国際市場でECサイトを運営する際に、その運営をサポートしてくれる企業のことです。
越境EC運用代行・運営代行業者のサポート範囲は、マーケティング施策の提案や、出品・運営代行サポート、ECサイトの構築、決算管理などさまざまです。
業者を選ぶ際には、その会社が得意とする分野と自社が抱えていて対応をしてほしい分野がマッチしているかを見極めてから依頼するとよいでしょう。
アメリカ市場で越境ECへ参入する際にはしっかりとした戦略を立てよう
アメリカ市場への越境EC参入は、ビジネスチャンスをつかめる可能性が高いですが、成功するためには綿密な戦略が欠かせません。
現地ユーザーのニーズとトレンドを綿密に分析し、現地に合った商品選びとさらにはオリジナリティのある商品の販売もポイントになるでしょう。マーケティングにはデジタルマーケティングを駆使して効果的にプロモーションを行うことや、アメリカで主流の決済方法を導入して消費者の利便性を高める努力が大切です。
ポイントを押さえた戦略を立てることで、アメリカ市場での越境EC成功への道が開かれるでしょう。
しるし株式会社では、越境ECの売上拡大やリソース確保などをかなえるべく、運用代行やコンサルティングを提供しています。
まるっと任せられる運用代行のほか、スポンサー広告やDSP広告の運用、各種データ分析などで、Amazonでの越境ECを強力に支援しているのが特徴です。
- Amazonで越境ECをはじめたいもののノウハウがない
- 越境ECを運営しているが売上が伸びない
上記のように、越境EC運用に課題を感じている方はぜひ一度ご相談ください。