台湾越境ECの始め方や主要ECモールへの参入方法!成功のコツと注意点も
日本と距離の近い台湾で越境ECを実現することは、今後の販路を広げるために重要な意味を持ちます。台湾での販売促進はもちろんほかの国への進出にもつなげましょう。本記事では、台湾市場での越境ECの始め方や主要ECモールへの参入方法などを解説します。
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越境ECにおいて台湾が注目される6つの理由
越境ECとは、国内の商品を外国に販売するインターネット通販のことです。海外マーケットを開拓できる越境ECは、事業成長を目指す企業にとって重要な選択肢です。
2021年の日本貿易振興機構(ジェトロ)海外調査部による市場調査の結果、日本企業のECによる今後の海外販売先として、台湾は中国、米国に次いで3位に位置しています。
越境ECにおいて台湾が注目されている理由には、以下の6つがあげられます。
- 台湾は年々ECの市場規模が増えている
- 親日家が多く日本製品の人気が高い
- 輸送コスト・輸送時間を抑えやすい
- 未婚率の高さにより消費行動が活発になっている
- 日本のマーケティング手法を流用しやすい
- 東南アジア進出への一歩になる
一つひとつチェックし、台湾の越境EC事情を理解しましょう。
台湾は年々ECの市場規模が増えている
台湾のインターネット通販の普及率は、2019年には7.5%でしたが、2021年には10.8%とはじめて2桁を超えました。
台湾の主要なECモール6社は、2019年から2021年の2年間で平均43.8%成長しています。
2030年にはインターネット通販の普及率は20.1%に達し、ネットショッピングでの売上高は5,100億台湾ドルに達する可能性があると予測されています。
今後もECの市場規模が増えることが予想されており、越境ECでも大きな需要が見込まれています。
親日家が多く日本製品の人気が高い
2021年の日本政府観光局(JNTO)の市場調査によると、台湾の国外旅⾏実施者の4割前後は過去に4回以上日本に旅⾏をしており、訪⽇リピーターの割合がとくに高いという結果が出ています。
2023年4~6月期の訪日外国人の推定旅行消費額は1兆2,052億円(2019年同期比95.1%)としており、国籍・地域別では台湾が1,739億円(構成比14.4%)ともっとも大きいとしています。
訪日外国人旅行消費額における買物の金額が中国、シンガポールに次いで多いことから、台湾での日本製品のニーズは高く、インターネット通販でも同様の結果を期待できるでしょう。
輸送コスト・輸送時間を抑えやすい
台湾は沖縄の与那国島から約111kmという近距離に位置しており、越境ECでネックとなる輸送コストや輸送時間を抑えやすいのもメリットです。
日本との時差も1時間しかないため、ユーザーからの問い合わせにもリアルタイムで対応しやすいでしょう。
未婚率の高さにより消費行動が活発になっている
台湾の15歳以上の未婚率は、2023年時点で男性37.61%、女性30.56%です。同年の日本は男性34.6%、女性24.8%のため、男女ともに台湾の方が未婚率が高くなっています。
独身者は自分のために自由にお金が使いやすく消費行動が活発なことから、ネットショッピングにも影響を与えています。
日本のマーケティング手法を流用しやすい
台湾ではFacebookやThreads、YouTube、LINE、InstagramなどのSNSの利用が盛んで、SNSの使用時間が日本の2倍といわれています。そのため、日本と同様にSNSを活用したマーケティング手法を利用すると効果的です。
とくにFacebookの利用率が高く、年々ショート動画の利用者が増えているため、ショート動画でPRするとよいでしょう。
インフルエンサーにPRを依頼する場合は、依頼時にかかった金額以上の売上を上げられる費用対効果の高い人物を見つけましょう。
東南アジア進出への一歩になる
2021年の日本政府観光局(JNTO)の市場調査によると、日本企業のECによる今後の海外販売先として、中国、米国、台湾に続き、シンガポール、ベトナム、タイ、香港、フランス、マレーシア、インドネシアがあがっています。
東南アジア諸国は、経済規模の拡大とともに今後の個人消費額の上昇が見込まれており、越境EC先としての期待が高いことがわかります。
台湾はその東南アジア諸国と地理的にも近く、台湾での越境EC経験をそのまま活かしやすいでしょう。さらに、中国語を使う人口が多いため、台湾でのページ作成経験も活かせます。台湾で使用している繁体字は、少々異なる点はあるものの、香港でも使われています。
台湾越境ECの始め方
台湾において越境ECを始めるには、大きく分けて以下の2つの方法があります。
- 台湾に対応したECモールに出品・出店する
- 自社ECサイトで台湾に向けて販売する
それぞれのメリット・デメリットを理解して、出店方法を検討しましょう。
台湾に対応したECモールに出品・出店する
台湾のECモールに出品するメリットは、主に以下の3つです。
- 購入目的のユーザーが集まりやすい
- 台湾向けの決済手段や配送方法を利用できる
- 現地の担当者のサポートを受けられる可能性がある
複数のお店が集まったECモールは集客力があります。個人商店である自社サイトに比べ、商品を見つけてもらえる可能性が高いでしょう。加えて、ユーザーの多くが購入目的で訪れているため、購入につながりやすいといえます。
台湾のECモールには、台湾向けの決済手段や配送方法があらかじめ用意されています。自分で1から準備する必要がなく、負担を軽減できるでしょう。
ECモールによっては、現地の担当者のサポートを受けられます。言語や文化の違う台湾では、思わぬ困りごとが出てくるかもしれません。困ったときに頼れる相手がいるのは心強いでしょう。
デメリットとしては、自社サイトに比べて出店料や販売手数料などのコストがかかる点、ECモールのルールに合わせる必要がある点があげられます。運用コストよりも出店の手軽さを重視する場合に向いているでしょう。
すでに国内のECモールに出品している場合、そのまま台湾にも販売できれば簡単ですが、2024年現在、Amazonは台湾への越境ECには対応していません。楽天市場も越境ECサービスである「グローバルマーケット」を2020年に終了しています。
現時点ではQoo10が台湾への越境ECに対応しているため、あわせてチェックしてみてください。
自社ECサイトで台湾に向けて販売する
もうひとつは自社ECサイトを使って台湾に向けて販売する方法です。すでに日本に自社ECサイトがある場合は、海外からアクセスできるようにします。
サイト内の言語を多言語化するほか、発送方法にEMS(国際スピード郵便)など海外に対応した方法を取り入れましょう。サイト内にタグを設置することで、多言語化できたり海外専用カートを設置したりできるサービスがあるため、活用すると負担を軽減できます。
自社ECサイトで販売するメリットは、ECモールへの出品料や販売手数料がかからず利益率が高い点、サイト作成の自由度が高い点です。
デメリットとしては、ECモールのような集客力やサポートを期待できない点、言語や通貨などさまざまな知識が必要な点があげられます。
台湾の主要越境ECモールと参入方法
台湾へ越境ECを行う際におすすめのECモールと出店方法を解説します。台湾の主要なECモールは、以下の5つです。
- Shopee蝦皮購物
- momo購物網
- PChome24h
- Yahoo!奇摩購物中心
- ETMall東森購物
それぞれ特徴が異なるため、自社商品にあったECモールを選びましょう。
Shopee蝦皮購物
「Shopee蝦皮購物」は、台湾で最大規模のECモールです。2015年にシンガポールで設立され、現在は東南アジアを中心に11地域に展開しています。
2020年には、ショッピージャパン(日本法人)が設立され、事業者向けのサポートが手厚くなりました。現在は日本から台湾、シンガポール、タイ、マレーシア、フィリピン、ベトナムの5つの地域に越境ECが可能です。
初期費用・維持費用がかからないほか、日本語でのサポート体制が整っていたり国際配送を割安で利用できたりとメリットが豊富です。越境ECモールに出店する際の不安を減らせるでしょう。
出店する際は、公式サイトの「アカウント申請」をクリックして必要事項を入力します。審査完了後の連絡を待ちましょう。
momo購物網
「momo購物網」は、2005年に毎日24時間番組を放送するテレビショッピングからはじまったECモールです。コスメなどの美容関連用品を多く取り扱っており、主に20〜40代の女性から支持を集めています。
偽物を心配するユーザーに対応し、正式なブランドだけが出店できる「品牌旗艦館」ページを設けているのが特徴です。
「momo購物網」に出店するには、現地法人または代行会社が必要なため、状況を整えて登録申請をしましょう。
PChome24h
「PChome24h」は、2007年に世界に先駆けて「年中無休・24時間配送サービス」を開始したECモールです。食料品や衣類など、500万点以上の商品を取り扱っています。
約200万商品を対象に、24時間以内に商品を届けることが約束されており、遅れてしまった場合100台湾元分のポイントが付与されるのが特徴です。
「PChome24h」に出店するには、現地法人または代行会社が必要なため、あらかじめ準備してから登録申請をしましょう。
Yahoo!奇摩購物中心
「Yahoo!奇摩購物中心」は、日本でもおなじみのYahoo!ショッピングの台湾版です。通常、商品返品可能期間は7日間ですが、少し長めの15日間を設けています。
ユーザーの年齢層や商材ジャンルが幅広いため、どのような商品ジャンルの企業でも参入しやすいでしょう。
出店するには現地法人または代行会社が必要です。
ETMall東森購物
「東森購物」は、台湾最大のテレビショッピング通販事業を展開している企業です。東森購物が手掛けるECモールの会員総数は800万人を超えています。
ECモールで販売する商品は、市場に出る前に70項目を超える品質チェックを受け、品質の安全性が確保されている点が特徴です。販売後もランダムでピックアップされ、第三者検査会社によって検査を実施しています。
出店するには現地法人または代行会社が必要です。
台湾越境ECを成功させる5つのポイント
台湾越境ECを成功させるポイントは、以下の5つです。
- 台湾ユーザーのニーズとトレンドを把握する
- 日本ならではの商品を販売する
- デジタルマーケティングを活用する
- 台湾で使用されている決済・受取方法を導入する
- ページに繁体字中国語での説明文を入れる
ポイントを押さえて、台湾越境ECの成功を実現しましょう。
台湾ユーザーのニーズとトレンドを把握する
日本のユーザーとはニーズが異なる可能性があるため、台湾のユーザーが何を求めているのかをしっかり把握する必要があります。
台湾のECモールでランキング上位商品や急成長しているカテゴリーなどを調べてみましょう。SNSやyoutubeをチェックしてトレンドを把握するのも効果的です。
日本ならではの商品を販売する
台湾の方が越境ECを利用しない理由について調査したところ、「国内のECサイトですべての商品が手に入る」というのが1位でした。台湾にもある商品を販売しても購入につながらない可能性が高いため、日本ならではの商品を選択するとよいでしょう。
また、海外では日本製品の品質が高く評価されています。しかし、模倣品や海賊版が出回っているため、自分で商品を手に取ることができないインターネット通販では安易に購入しにくい現状があります。
日本企業が自ら販売することは信頼性の担保につながるため、その点をアピールするのもおすすめです。
デジタルマーケティングを活用する
日本と同様に台湾のインターネット市場でも、デジタルマーケティングを活用しましょう。FacebookやInstagram、YouTubeなどのSNSを活用し、ターゲット層に訴求します。各種SNSの公式ページを作成しておくとよいでしょう。
広告戦略やSEO対策などを行い、店舗や商品の露出を高めることも効果的です。
台湾で使用されている決済・受取方法を導入する
台湾で主流な決済方法や受取方法を取り入れることも重要です。
決済方法としては、クレジットカード払い、銀行振込、代金引換、コンビニ払い、後払い決済をできるようにしておくのが基本です。出店するECモール独自の支払い方法がある場合は、そちらも検討しましょう。
台湾で特徴的なのが、コンビニ受取の人気が高い点です。受取方法に必ず入れておきましょう。
ページに繁体字中国語での説明文を入れる
経済産業省の調査結果によると、台湾の方が越境ECを利用しない理由として「外国語が不安」という点があります。
いかに日本製品のよさを知っているとしても、説明文がわからないと購入を躊躇するでしょう。英語を使う方法もありますが、やはり現地のECサイトに負けないためには、繁体字中国語で説明文を記載することをおすすめします。
台湾越境ECを始める際の6つの注意点
台湾越境ECを始める際には、以下の6つに注意しましょう。
- 台湾の輸入規制品について
- 台湾の関税・営業税について
- EZ WAY (易利委)アプリについて
- 返品対応について
- 定期購入について
- 薬事法や景品表示法について
あらかじめすべてを把握しておくことによって、準備の負担を減らすことができます。
台湾の輸入規制品について
台湾には輸入が規制されている品物があります。ユーザーに送付してしまった場合、刑罰が課されるおそれがあるため、しっかり把握しておきましょう。
主な輸入規制品は以下の通りです。
- 銃器、銃弾、爆薬、毒ガスおよびその他兵器(パーツ、部品含む)
- 所定毒品、製剤および関連の種子(ケシ、コカ、大麻)
- 密輸取締時の見積時価が10万台湾元、または1,000kgを超えるHSコード第1~8類のもの
- コメ、ピーナッツ、茶およびその種の密輸入品
- 犬肉、ふぐ、廃鉛酸バッテリー
HSコードとは、貿易対象品目に定められた固有のコード番号です。第1〜8類のものとは、生きた動物、肉・食用雑類、魚・水産物等、乳製品、卵、蜂蜜、動物産品、生木およびその他植物、野菜類、フルーツを指します。
なお、2011年3月26日以降、福島県、栃木県、群馬県、茨城県、千葉県で生産・加工された食品は、放射性物質検査報告書と産地証明書の添付が必要となりました。(野生鳥獣肉、キノコ類、コシアブラは除く)
加えて、日本で流通が禁止されている品目は台湾に輸出することはできないため、注意してください。
台湾の関税・営業税について
関税とは国をまたいで移動した商品に課される税金で、外国からの安価な商品が国内産業を衰えさせないよう設けられています。
越境ECでは原則として購入者が関税を負担しますが、販売者が負担する場合もあります。後々トラブルにならないよう、どちらが関税を負担するか商品ページに明記しましょう。
台湾の関税は、国や品目などで細かく分けられています。一つひとつ調べるのは大変なため、JETROが提供している世界各国の関税率を調べられるツール「WorldTariff」を活用するとよいでしょう。
営業税はいわゆる消費税で、台湾国内で発生した利益にかかります。現在は利益の5%を支払うと決められており、「(関税課税対象価格+輸入関税)× 5%」で計算できます。
課せられる税金を考慮して、利益を得られるように売値を決めましょう。
EZ WAY (易利委)アプリについて
EZ WAY(易利委)とは、実名認証用に政府が開発したアプリです。通関手続きを簡単に行うためにつくられました。
台湾では1回の取引金額が2,000台湾ドル以下の少額輸入貨物については、関税が免除されます。ただし、「30日以内に2回以上送付された場合」あるいは「6ヶ月以内に6回以上送付された場合」は免税規定は適用されません。
関税を免除されるために、偽名や他人名義で輸入するなどの不正行為が発生したため、通関手続きが厳格化されました。それに伴い、本人確認を簡潔に行えるEZ WAY(易利委)アプリが利用されています。
EZ WAY(易利委)アプリか書類での申告を行わないと、商品が強制的に返却される可能性があります。返送を避けるため、購入したユーザーに申告を必ず行うように周知しましょう。
なお、EZ WAY(易利委)アプリでの申告対象となるのは、民間国際宅配便のみです。EMSや国際郵便は、商品価格が20万円以下の場合は申告不要です。
返品対応について
台湾は日本と同様、ネットショッピングで購入した商品は到着後1週間以内であれば返品できます。
台湾の返品率は高いため、返品対応についてしっかり決めておくことが大切です。返送時の送料はどちらが負担するか、返品を受けつける条件はどうするかなどを考えておきましょう。台湾のショップを参考にするとよいでしょう。
定期購入について
台湾では、定期購入はあまり浸透していません。そのため、定期購入を行う場合は説明をしっかり記載する必要があります。
商品が定期的に届くこと、クレジットカードや口座から数回引き落とされることなどを明記しましょう。できるならば、注文カートにチェックリストを設置するとよいでしょう。
薬機法や景品表示法について
台湾で商品を販売する場合、ラベルの表記を台湾の言語にしないといけません。化粧品や健康食品・医薬品・健康器具などを取り扱う場合は、薬機法に注意してください。薬機法を遵守せずに商品を販売してしまうと、処罰を受けることになります。
過度な表現を使って商品の品質や内容、価格などを実際以上によく見せる行為は景品表示法違反になります。誇張した表現を使用しないよう注意しましょう。
台湾越境ECで売上アップや東南アジア市場参入を成功させよう!
台湾での越境ECを実現することは、売上アップや事業成長につなげるための重要な施策です。日本と地理や文化の近い台湾での成功を基盤にして、東南アジア市場参入も成功させましょう。
ただし、越境ECを成功させるには綿密な戦略が必要です。台湾ならではのニーズやトレンドをしっかり把握しなければいけません。台湾の法律や言語を学ぶことも大切です。
自社だけでは難しいと感じた場合は、越境EC運用代行・運営代行業者に相談するのも方法のひとつです。出品・運営やマーケティングをサポートしてもらえば、越境ECのハードルが下がるでしょう。
台湾への越境ECを第一歩として、他の国への越境ECの成功へつなげてください。
しるし株式会社では、越境ECの売上拡大やリソース確保などをかなえるべく、運用代行やコンサルティングを提供しています。
まるっと任せられる運用代行のほか、スポンサー広告やDSP広告の運用、各種データ分析などで、Amazonでの越境ECを強力に支援しているのが特徴です。
- Amazonで越境ECをはじめたいもののノウハウがない
- 越境ECを運営しているが売上が伸びない
上記のように、越境EC運用に課題を感じている方はぜひ一度ご相談ください。